第2部 第12話
 
 
 
 
「おかえり、お兄ちゃん」

俺が東京から戻ってくると、いつも詩織はすぐに俺のところへ遊びに来る。
それが嬉しくもあり、寂しくもある。
だって見るたびに詩織は大人びていくから。

なんか、かわいい妹が自分の手から離れていく気分だ。

でも詩織はこうやって、俺に会いにきてくれる。

「ただいま」
「ねえねえ、お土産は?」
「あー。忘れた」
「ひどい!詩織、楽しみにしてたのに!」

プウッと頬を膨らませる詩織。
もう中学2年生なのに、こういう表情は小学生みたいだ。

「ごめん、ごめん。なあ、海に行こうぜ。そこでカキ氷でも買ってやるよ」
「うん!」

元気にそう答えた後、詩織はちょっとモジモジしながら言った。

「あ、でも・・・詩織は泳がない」
「え?なんで?」
「お兄ちゃんの前で水着きるの、恥ずかしいもん」
「はあ?何、色気づいてるんだよ。俺の前で恥ずかしいも何もないだろ」

俺は詩織が冗談でそう言ったのだと思い、腹を抱えて笑った。
でも、詩織は何故か本気で落ち込んだ。

「詩織?」
「ねえ、お兄ちゃん・・・お兄ちゃんて、彼女いる?」
「は?」

小学校の頃、詩織と「クラスに好きな子いる?」くらいの話はしたことがある。
でも、俺が東京に行ってからは、
こんなふうに「彼氏・彼女、いる?」みたいな会話はしたことがない。
ていうか、妹同然の詩織とそんな話をしようとも思わない。

でもまあ、隠す必要もないか。

「いない」
「好きな子は?」
「あー・・・いるけど」
「片思い?」
「うん」

詩織は「そっか」と言うと、しばらく何やら考えた後、
ポツリと呟いた。

「詩織はお兄ちゃんのこと、好きだよ」
「ん?ああ。ありがと」

もちろん俺も好きだ。
いや、好きとか嫌いとか、そういうんじゃないよな。
兄妹なんだから。

だけど・・・そう、詩織の「好き」はそういう「好き」じゃなかった。


突然、詩織がセーラー服のボタンを外し始めた。

俺は詩織が何をしているのか、わからなかった。
頭が真っ白になって、わからなかったんじゃない。
本当に、なんでそんなことをしてるのか、わからなかった。

暑いのか?クーラーつけようか?

なんてことを、本気で言おうとしたくらいだ。

でも、さすがに詩織がスカートを床に落とした時には、その意味がわかった。

「し、詩織・・・?何やってんだよ」
「・・・」

詩織は無言のまま、俺に近づいてきた。

下着と靴下だけの詩織は、俺の知ってる詩織じゃなかった。
俺の知ってる詩織は、こんな「女」じゃない。
「少女」だ。いや、「妹」だ。

詩織とは、結構大きくなるまで一緒に風呂に入ったり、
一緒の布団で寝てた気がする。
でもこんな・・・胸が大きくて、ウエストがくびれてて・・・こんなんじゃない!


俺は後ずさった拍子にベッドに躓き、そのままベッドの上にストンと腰を落とした。
詩織は、ベッドに座っている俺の両側に手をつき、俺に顔を近づける。

俺はなんとか詩織から逃げようと、そのまま上半身を下げていった。
でも、いくら俺でもこのまま完全にベッドに頭をつけてしまえば「ヤバイ」のはわかる。

肘と腹筋で、なんとか頭を支える。


「湊ー!」

突然1階から、場にそぐわない大声が聞こえてきた。
母さんだ!!

「買い物に行って来るわねー!」

お、俺も行く!!

そう叫びたかったけど、声が出なかった。
そして、玄関の閉まる音がし、唯一の救世主である母さんは出掛けていってしまった。


「お兄ちゃん・・・」

ついに限界が来て、俺はベッドの上に倒れた。
それを見た詩織は、両手をベッドから離し・・・俺の太ももの上にちょこんと座った。

下着姿の女が、寝転がってる俺の足の上に座っている・・・

眩暈のしそうな光景だが、その「女」が詩織だと、妙に現実感がない。
俺、夢見てんじゃねーの?
そんなに欲求が溜まってたのか?
それにしても、よりによって詩織かよ。
夢なら誰でもいいだろ。坂上先輩とか。

だけどこれは夢じゃない。
足に感じる詩織の肌の感触が、それを証明している。


詩織は自分の背中に手を回すと、ブラジャーのホックを外した。
本当に「ポロッ」という感じで、綺麗な胸があらわになる。

それは、本当に白くって・・・

本気で眩暈がしてきた。

なんだ、これ。
AVか?
妹が「お兄ちゃん、好き」とか言いながら、自分で脱ぐっていう・・・
なんつーありがちな。
今時そんなの売れねーぞ。

どーでもいいことを考えて、なんとか自分を鎮めようとする。

が、詩織はそれを許さない。

両手で俺の右手を取り、そっと胸に当てた。
指先に、信じられないくらい柔らかい感触がする。

「詩織!」
「お兄ちゃん。詩織、お兄ちゃんになら何されてもいいよ。何でもしてあげるよ」

だーかーらー。
お前はどこでそーゆーセリフを覚えるんだ。
つーか、さっき、水着が恥ずかしいとか言ってなかったか?
コレは恥ずかしくないのかよ?


頭ではそんな冷めたことを考えてるくせに、
身体は滅茶苦茶反応していた。
当たり前だろ。俺は健康な中学3年生なんだ。

でも・・・ダメだって。
詩織だぞ。
妹だぞ。
こんなこと・・・


「ダメだ」

俺はなんとか理性を呼び起こしてそう言うと、
手を詩織の胸から外そうとした。

でも詩織は両手に力を込めて、それを阻む。
そして、ベッドに膝をついて少し腰を浮かせた。

俺の手を胸から外す。

よかった。
諦めてくれたのか?

ところが。
詩織は今度は、俺の手を下に持って行った。
そしてそのまま白いパンツの中に、俺の手を入れる。


「!!!」

俺はその感触におののき、
慌てて手を引き抜いた。

「やめろって!」
「ねえ・・・お願い・・・お兄ちゃん」
「お願いって、何が!!」
「お願い・・・」

詩織は下着を全部取った。
そして俺の服も脱がせにかかる。

しかも、俺が逃げられないようにするためなのか、
いきなりズボンを脱がせた。

俺も、本気で抵抗すれば簡単に阻止できたものの・・・
さっき指先に感じた感触が忘れられなった。

柔らかい胸と、
驚くほど潤った・・・


ダメだダメだと思いつつ、
結局俺は、自分に負けてしまった。

  
 
 
 
 
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